平成23年度 問22 無機化学及びセラミックス
薄膜形成技術の1つにPVD (物理(的)堆積法)技術がある。次の記述のうち、誤っているものはどれか。
①
真空蒸着法は、原料物質を加熱して蒸発させ、基板表面で凝結、固化させ薄膜にする方法である。
②
分子線エピタキシー法(MBE)は、薄膜を構成する元素を含む原料をガス状にして輸送し、気相あるいは基板表面での反応を利用して薄膜を堆積させる方法である。
③
電子ビーム蒸着法は、蒸発原料の加熱を電子ビームを照射することにより行う真空蒸着法である。
④
イオンプレーティング法は、真空蒸着装置に低圧のガスを導入し、プラズマを発生させて蒸発源から蒸発した原料をイオン化して蒸着する方法である。
⑤
スパッタリング法は、大きな運動量を持った原子や分子が固体に衝突したときに運動量交換により固体原子が表面から飛び出す現象を利用した方法である。
正答
② 分子線エピタキシー法(MBE)は、薄膜を構成する元素を含む原料をガス状にして輸送し、気相あるいは基板表面での反応を利用して薄膜を堆積させる方法である。
正答は2番です。
蒸着は、物質を高温にして蒸発させ、処理物に吸着させその表面上に物質の固体被膜を形成する方法です。蒸着には物理的反応を利用した物理蒸着(PVD)と、化学的反応を利用した化学蒸着(CVD)の二種類があります。
MBE(分子線エピタキシー)法は、超高真空環境下で原子または分子ビームを用いて、基板表面で反応させることにより原子層レベルで制御された薄膜を成長させる技術です。真空蒸着法と異なり超高真空で実施することから、他の分子と接触する可能性が減り分子線として振舞えます。扱う粒子は低エネルギーです。
イオンプレーティング法では、単に原料をイオン化して蒸着するだけでなく、基板にマイナスの電圧を印加してイオン化した原料を引き寄せます。イオン化した原料を加速して基板に衝突させることで、高い密着性と密度を持つ膜を形成できます。