平成29年度 問27 化学プロセス

気体の性質と蒸発潜熱に関する記述のうち、最も適切なものどれか。

気体の粘度は、温度の上昇とともに増大する。
蒸発潜熱は、圧力の上昇とともに増大する。
気体の熱伝導率は、温度の上昇とともに減少する。
気体のエンタルピーは、圧力の上昇とともに増大する。
25℃の高圧水素を減圧すると温度は低下する。
正答
① 気体の粘度は、温度の上昇とともに増大する。

正答は1番です。

液体の場合は温度が上がるにつれて粘度が低下します。温度と粘度の関係は次のアンドレードの式が有名です。対して気体の温度が上がると、分子の運動が活発になる一方で分子間の衝突が増えることから粘度が大きくなります。

アンドレードの式
$$ \ln\eta= \ln A + \frac{E}{RT}$$
η:粘度[Pa・s]、E:流動活性化エネルギー[J/mol]
T:絶対温度[K]、A:比例定数[Pa・s]
R:気体定数=8.314[J/(mol・K)]

2番の潜熱は物体が状態変化するときに必要な熱量です。つまり蒸発潜熱は液体から気体に変化させるときに必要な熱量です。対して物質の状態変化ではなく温度上昇に使用される熱は顕熱と呼ばれます。

水の蒸発潜熱は、温度の上昇とともに減少します。この傾向は、温度が上がるにつれて水分子間の結合が弱くなり、液体から気体への状態変化に必要なエネルギーが減少するためです。同様に、圧力の上昇とともに蒸発潜熱が減少します。高圧下では分子がより密集しており、液体と気体の状態の差が小さくなり、相変化に必要なエネルギー(蒸発潜熱)が減少します。

3番の気体の熱伝導率は、一般的に温度の上昇とともに増加します。温度が上がると気体分子の運動エネルギーが増加し、分子同士の衝突頻度が高くなるためです。圧力が上がった場合では気体分子の密度が高くなり、熱エネルギーの伝達がより効率的に行われるため熱伝導率が増加します。

4番のエンタルピーは内部エネルギーUと圧力P、体積Vの積の和で定義されます(H = U + PV)。ただし理想気体のエンタルピーHは温度Tのみの関数であり、圧力Pには依存しません。

5番の水素は他の多くのガスとは異なり、室温付近ではジュール・トムソン効果により、減圧時に温度が上昇する特性を持っています。ジュール・トムソン効果は、断熱条件下で気体が絞り(多孔質壁や弁など)を通過する際に生じる温度変化を指します。

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