令和2年度 問30 化学プロセス

翼直径 \(d_1\ [\mathrm{m}]\) の小型撹拌槽(1)から翼直径 \(d_2\ [\mathrm{m}]\) の大型撹拌槽(2)に幾何学的相似を保って、\((d_2/d_1)\) 倍にスケールアップする。この際、翼回転数 \(n_1\ [\mathrm{s^{-1}}]\) も大型撹拌槽の翼回転数 \(n_2\ [\mathrm{s^{-1}}]\) に \((n_2/n_1)\) 倍するが、その大きさはスケールアップの基準により異なる。スケールアップの基準を次の 1~5 の変数量を一定にすることとしたとき、\((n_2/n_1)\) が最も小さいのは、どの変数量を一定とした場合か。

なお、記号の意味は次のとおりである。\(n\):翼回転数、\(d\):翼直径、\(\mu\):流体粘度、\(g\):重力加速度、\(\rho\):流体密度、\(N_p\):動力数、\(\pi\):円周率

翼回転数:n
撹拌レイノルズ数:ρnd2
フルード数:n2 d/g
単位容積当たりの所要動力:N p ρn3 d2
翼先端速度:πnd
正答
② 撹拌レイノルズ数:ρnd2

大型撹拌槽での回転数 \(n_2\) が最も小さくなるのは、翼直径 \(d\) に対する累乗が大きく、翼回転数 \(n\) に対する累乗が小さい変数量です。よって撹拌レイノルズ数が該当します。

確認のため、各変数量を一定にして回転数の比 \(n_2/n_1\) を計算してみます。スケールアップ前を添字 1、スケールアップ後を添字 2 とします。

  1. 翼回転数:\(n_2 = n_1\)、\(n_2/n_1 = (d_2/d_1)^{0}\)
  2. 撹拌レイノルズ数:\(\rho\,n_2\,d_2^{2}/\mu = \rho\,n_1\,d_1^{2}/\mu\)、\(n_2/n_1 = (d_2/d_1)^{2}\)
  3. フルード数:\(n_2^{2}\,d_2/g = n_1^{2}\,d_1/g\)、\(n_2/n_1 = (d_2/d_1)^{1/2}\)
  4. 単位容積当たりの消費動力:\(N_p\,\rho\,n_2^{3}\,d_2^{2} = N_p\,\rho\,n_1^{3}\,d_1^{2}\)、\(n_2/n_1 = (d_2/d_1)^{2/3}\)
  5. 翼先端速度:\(\pi\,n_2\,d_2 = \pi\,n_1\,d_1\)、\(n_2/n_1 = (d_2/d_1)^{1}\)

「単位容積当たりの消費動力」における動力数 \(N_p\) は、乱流域での \(N_p\) はほぼ一定の値を示します。明確に記載されていませんが、撹拌槽では乱流で扱うことが一般的なため今回 \(N_p\) で計算しています。

技術士(化学部門)一次試験の要点まとめ

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