令和6年度 問32 化学プロセス
水 100 mol に成分 A を 20 mol 溶解した水溶液がある。これに、純粋なトルエン 100 mol を加え、容器の中で撹拌し、静置したところ、2 液相に分離した。上層に含まれる成分 A の量として、最も近い値はどれか。水とトルエンの相互溶解度は無視できる。溶液平衡の実験データを下表に示す。根の公式は次の通りである。$$0 = ax^{2} + bx + c,\quad x = \frac{-b \pm \sqrt{b^{2} - 4ac}}{2a}$$
| 実験 | 水相 | トルエン相 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | A | トルエン | 水 | A | トルエン | |
| 1 | 92.1 | 7.8 | 0.1 | 0.5 | 2.6 | 96.9 |
| 2 | 84.8 | 15.0 | 0.2 | 1.0 | 5.0 | 94.0 |
①
16 mol
②
5.2 mol
③
5.0 mol
④
4.6 mol
⑤
4.0 mol
正答
④ 4.6 mol
水の比重よりトルエンの比重の方が小さいことから、上層がトルエン、下層が水となります。
今回、成分 A 濃度の異なる液液平衡データが 2 種類与えられています。それぞれで分配係数を計算してみます。希薄溶液であり、抽出により分子が変化しない場合は分配係数が同じになります。
1 行目: \(2.6 / 7.8 = 1/3\)
2 行目: \(5.0 / 15.0 = 1/3\)
分配係数が \(1/3\) ですので、各層における A のモル分率 \(x_{\text{water}}\) と \(y_{\text{tol}}\) から立式します。上層であるトルエン相の成分 A の物質量を \(n_A\) とします。使用する成分 A は 20 mol ですので、水相側の成分 A の物質量は \(20 - n_A\) です。
$$x_{\text{water}} = \frac{20 - n_A}{100 + (20 - n_A)},\quad y_{\text{tol}} = \frac{n_A}{100 + n_A}$$上記式から \(y_{\text{tol}} = \tfrac{1}{3}\,x_{\text{water}}\) を立式して \(n_A\) を求めます。
$$\frac{n_A}{100 + n_A} = \frac{1}{3}\cdot\frac{20 - n_A}{100 + (20 - n_A)}$$$$n_A^{2} - 220\,n_A + 1000 = 0$$根の公式より \(n_A = 110 \pm 10\sqrt{111}\) です。\(\sqrt{111} \approx 10.54\) とすると、\(110 \pm 10\times 10.54 = 4.6\) もしくは 215.4 mol となります。使用している成分 A は 20 mol ですので、必ず 20 mol 以下になります。
よって最も近いのは 4.6 mol です。