令和2年度 問34 化学プロセス
内径 19.8 mm × 外径 22.2 mm の内管を設置した二重管型熱交換器において、環状部に 150 ℃ の熱媒油を流量 \(1.0\ \mathrm{kg/s}\) で流し、内管部を流量 \(0.5\ \mathrm{kg/s}\) で流れる 90 ℃ の水を 120 ℃ まで温めたい。流体を向流で流した場合に必要な伝熱管長さはいくらか。次の値のうち最も近いものを選べ。ただし、熱媒油と水の比熱はそれぞれ \(2.1\ \mathrm{kJ/(kg\cdot K)}\) 及び \(4.2\ \mathrm{kJ/(kg\cdot K)}\) で、外径基準の総括伝熱係数は \(U = 540\ \mathrm{W/(m^{2}\cdot K)}\) とする。また、熱交換器内部の流体温度差平均値 \(\Delta T_m\) は両端の流体温度差 \(\Delta T_1\) と \(\Delta T_2\) の相加平均として算出してよい。
伝熱により水へ与える熱量を計算します。
$$4.2\ \mathrm{kJ/(kg\cdot K)}\times (120 - 90)\ \mathrm{K}\times 0.5\ \mathrm{kg/s} = 63\ \mathrm{kJ/s}$$水に与えた熱量だけ熱媒油は熱を奪われます。熱交換後の熱媒油の温度を \(T\) とします。
$$2.1\ \mathrm{kJ/(kg\cdot K)}\times (150 - T)\ \mathrm{K}\times 1.0\ \mathrm{kg/s} = 63\ \mathrm{kJ/s}\;\Rightarrow\; T = 120\ ^\circ\mathrm{C}$$熱交換後の熱媒油の温度は水と同じ 120 ℃ でした。偶然にも両流体の出口温度が同じです。向流の場合、高温側の出口温度より低温側の出口温度が高くなる現象が起きます。そのため、短絡的に水の出口温度である 120 ℃ に熱媒油も変わると考えてはいけません。
両端の流体温度差 \(\Delta T_1, \Delta T_2\) を求めます。
\(\Delta T_1 = (\text{熱媒側入口}) - (\text{水側出口}) = 150 - 120 = 30\) K
\(\Delta T_2 = (\text{水側入口}) - (\text{熱媒側出口}) = 90 - 120 = -30\) K → 温度差 30 K
問題にて \(\Delta T_m\) は \(\Delta T_1\) と \(\Delta T_2\) の相加平均として算出してよいとされています。\(\Delta T_m = (30 + 30)/2 = 30\) K。
二重管における熱交換の等式を立てます。熱交換量は先に求めた 63 kJ/s であり、kJ/s = kW と同義です。つまり熱交換量は 63,000 W です。求める伝熱管長さを \(L\) とします。
$$63{,}000\ \mathrm{W} = 540\ \mathrm{W/(m^{2}\cdot K)}\times \pi L\,(22.2\times 10^{-3})\ \mathrm{m^{2}}\times 30\ \mathrm{K}$$\(L = 55.78\ \mathrm{m}\)。最も近い値は 56 m です。円周は \(2\pi r\) と覚えますが、与えられているのが管直径なため、\(\pi D\) で計算しますので注意してください。