令和7年度 問1 有機化学及び燃料
還元剤である水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4 ;LAH)と水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4 )に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
①
LAHはNaBH4 よりも穏和な還元剤である。
②
NaBH4 はいかなる条件でもカルボン酸を還元できない。
③
LAHによる還元は、水やアルコール中で行うことができる。
④
LAHはカルボン酸とエステルを第一級アルコールに還元する。
⑤
NaBH4 はアルデヒドとケトンを還元できない。
正答
④ LAHはカルボン酸とエステルを第一級アルコールに還元する。
LAH(水素化アルミニウムリチウム)と NaBH4(水素化ホウ素ナトリウム)はいずれも金属水素化物の還元剤ですが、還元力に大きな差があります。LAH は非常に強力で、アルデヒド・ケトンに加え、カルボン酸・エステル・アミド・ニトリルまで還元できます。一方の NaBH4 は穏和で、主にアルデヒド・ケトンの還元に用いられ、エステルやカルボン酸は通常還元しにくい還元剤です。
正しいのは④です。LAH はカルボン酸やエステルを第一級アルコールまで還元します。
- ① 逆です。LAH のほうが NaBH4 より強力(激しい)な還元剤です。
- ② 通常の水・アルコール溶液で NaBH4 単独を使う条件では、カルボン酸は基本的に還元されません。ただし、NaBH4 とヨウ素(I2)や BF3・Et2O などを組み合わせて BH3 系の還元条件にすると、カルボン酸を第一級アルコールへ還元できます。また、カルボン酸を酸塩化物や混合酸無水物など反応性の高い誘導体に変換してから NaBH4 で還元する方法もあります。したがって「いかなる条件でも」は不適切です。
- ③ LAH は水やアルコールなどのプロトン性溶媒と激しく反応して分解するため、これらの溶媒中では使えません。通常は乾燥エーテルや THF 中で扱います。
- ⑤ NaBH4 はアルデヒドとケトンを問題なく還元できます。